今、ロシア語にハマっている。
なぜロシア語なのかと聞かれると、きっかけはひとつではない。いくつもの出来事が少しずつ絡まり合って、気づいたらロシア語を勉強し始めていた。
ユーリー・ボリソフから始まった
最初の大きなきっかけは、映画『コンパートメントNo.6』だった。
この映画に出演していたユーリー・ボリソフという俳優が、とても良かった。
映画の中の彼は、不器用で、粗野で、最初は少し怖い。でも、見ているうちに、その奥にある優しさが少しずつ見えてくる。
この人のほかの作品も見てみたいと思った。
ところが、海外合作の作品などを除くと、日本語字幕や吹き替えのある作品がほとんど見つからない。ロシア国内向けの作品は、ロシア語が分からなければ見る方法がなかった。
それなら、いつかロシア語が分かるようになって、自分で見られるようになりたいと思った。
ロシアは、思っていたより近かった
数年前からハマっている『ゴールデンカムイ』も、ロシアへの興味につながっている。
物語の中でロシアはとても重要な国だ。樺太から流氷を伝って大陸側へ渡る場面を読んだとき、ロシアって、こんなに日本に近いんだと思った。
恥ずかしい話だけれど、それまで私は、ロシアを「自分が行ける国」として認識していなかった。
韓国や中国など、アジアの国にはいろいろ行ったことがある。でも、ロシアについては、なんだか遠くて、寒くて、怖そうな場所という程度のイメージしかなかった。世界地図のどのあたりにあるかは分かっていても、そこにどんな町があって、どんな人が暮らしているのか、具体的に思い浮かべたことがなかった。
戦争のニュースでロシアという国名を目にすることも増えた。
日本のすぐ近くにある大きな国だと気づいたとき、正直、脅威も感じた。
一方で、『コンパートメントNo.6』に出てくるロシアの人たちは、不器用だけれど優しくて、とても魅力的だった。
ニュースで見るロシアと、映画の中にあるロシア。その間には、私の知らない広大な空白があった。
万博にいなかったロシア
その空白を強く意識したのが、2025年の大阪・関西万博だった。
最近の情勢もあり、万博にロシア館はなかった。
私は、それまで世界のことをあまりきちんと勉強してこなかった。世界地図を見れば大まかな地域は分かるけれど、どこにどんな国があり、それぞれがどのようにつながっているのか、あまりイメージできていなかった。
でも、万博に何度も通っているうちに、旧ソ連圏には、ロシア語が広く使われていたり、キリル文字が使われていたりする国がたくさんあることを知った。
そのうち私は、「キリル文字を使っている国のパビリオンを全部回る」という遊びまで始めた。


いろいろな国の展示を見れば見るほど、その中心にあるはずなのに万博には存在しないロシアが、逆に気になった。
日本の中を見渡してみても、ロシアとのつながりは意外なところに残っている。
たとえば、神戸の有名なお菓子屋さんであるモロゾフやゴンチャロフは、どちらも創業にロシア人が関わっている。あのかわいいマトリョーシカも、もちろんロシアのものだ。
今まで別々だと思っていた映画、漫画、万博、お菓子や雑貨が、ロシアという場所で少しずつつながっていった。
国ではなく、そこにいる人を知りたい
私が知りたいのは、国家としてのロシアだけではない。
そこにどんな文化があり、どんな町があり、どんな人が暮らし、何を考え、どんな言葉を話しているのかを知りたい。
分からないものは、遠くて怖く見える。
でも、言葉が少し分かるようになれば、それまでひとつの大きな空白だった場所にも、少しずつ人の顔が見えてくるのかもしれない。
そんなことを考えながら、今日もキリル文字と格変化に苦戦している。


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